ウサギにはウサギ税が課せられていた!?原因となったウサギバブルとは……
見る人を幸せな気持ちにしてくれるウサギ。多少お値段は張るものの、できるなら飼ってみたいですよね。
しかしかつて明治時代、ウサギを飼うことに税金がかけられていました。
そもそもウサギとは……?
ウサギはウサギ目ウサギ科に属する生物です。最初はげっ歯目としてネズミの仲間だと考えられていましたが、歯の特徴などの相違からのちに別の目として独立します。
世界中の様々な地域に生息しますが、オーストラリアにはもともとは生息していませんでした。
草原や熱帯雨林、半砂漠から雪原まで、様々な地形に適応し、その繁殖力の高さから哺乳類でもトップクラスに繁栄しました。
基本的には植物(果実、樹皮を含む)を食べますが、一部の種では巻貝や昆虫を食べるものもいたりします。
耳は長く動かすことができ、大きな目は集光性も高く夜間など暗い時間の活動に適しています。
二八本の歯を持っていて、意外な事に肉球はなく体毛がかわりにびっしりと生えています。
もっとも古い種では五〇〇〇年前の始新世に見られ、漸新世から中新世にかけて現在のウサギの形に近づいて行ったと考えられています。
顎下の臭腺から匂い物質を分泌し、それをこすりつけることで縄張りを主張します。
走る速さはだいたい時速60キロから80キロ。車並みのスピードです。
声帯を持たないためにめったに泣くことはできませんが、後ろ脚を地面にたたきつけるスタンピングという行動でコミュニケーションを取り、仲間に危険を知らせたり、不快感を示したりするのにつかいます。
また、有名な「二兎を追うものは一兎をも得ず」という諺は、実は日本ではなくローマの諺だったりします。
ウサギバブルとウサギ税について
時は1870年代にまでさかのぼります。
当時「ウサギバブル」と呼ばれるウサギの大ブームが起こりました。
東京の富裕層などが中心になって、外来種「カイウサギ」の需要が増え大人気となり、ペットとしての飼育や品種改良のための交配がたくさん行われました。
人々はウサギを持ち寄り、値段や毛色などを競うようになります。この文化は現在の文鳥などにも見られます。
そして自ら飼うため、またはブリーダーとなってウサギを売るため、ウサギは大量に売買されたのです。
その結果、ウサギの値段が高騰し、投機を目的としてウサギを購入する人も増えてきました。
そして事態を重く見た東京府は、ウサギを飼育する際には届け出をすること、一羽につき一円(当時の価値で2万円)を納めること、無届の場合は二円の罰金を収めることを取り決めました。
さらに誰かがウサギを飼っていることを密告したものには、罰金の中から半分の一円程度が支払われることになりました。相互監視させることでウサギの飼育を抑制させようとしたのです。
これがウサギ税です。
結果、ウサギの価値は暴落しました。人々はウサギを殺して処分したり、川へ流したり、あるいは隠れて飼育したりなどをして税金を逃れようとしました。
こうした東京府の対応の結果、ウサギの飼育は著しく減少し、1879年にはウサギ税を廃止することになりました。
しかし一度勢いの衰えたウサギブームは復活することはなく、1880年代に入ると、全盛期には考えられないほど飼育数は激減していました。
ウサギには人間のエゴに巻き込まれた悲しい歴史があったのです。