動物雑学

珍しい動物や、動物についての雑学を紹介します。

ゾウの歯はたったの四本?

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 ゾウと言えば何を思い浮かべますか?力強く長い鼻、大きく愛らしい耳も魅力的ですが、マンモスにも通じる鋭いキバもかっこいいですね。
 でも、実はゾウの歯はあのキバの二本のほかに、口の中生えている四本の計六本しか生えてこないんです。

 しかしこの歯は生涯の内、なんと五回も生え変わります。今日はそんなゾウの歯について迫りましょう!

 ゾウは何を食べる?

 

 ゾウは典型的な草食動物です。草、植物の種子、葉っぱ、枝、果実、ついには木の根っこなどを食べ、お肉には見向きもしません。
 長い鼻を上手に使って高いところの枝葉をもぎ取るように食べる姿はよく知られているでしょう。

 ゾウは見た目の通りの大食漢で、一日の半分以上を食事に捧げ、300kgもの植物を食べます。
 そして水も100ℓ近くのみ、起きている間はずっと食事をしていると言っても過言ではありません。

 ひんぱんにゾウに食べられるため、エレファントグラスとあだ名された植物も存在します(ナピアグラス)。


 ゾウの歯

 

 ゾウの歯は牙を覗けば口の中に上下左右に一つずつ、四本しかありません。そのどれもが臼歯と呼ばれる、ものをすりつぶすことに特化した形の歯です。
 縦方向に板を積み重ねた形状をしていて、ちょうどフランスパンのような模様をしています。
 この歯で口に入れた植物をすりつぶすのですね。

 しかしこのすりつぶすと言う咀嚼方法、歯への負担は大きいです。
 歯をこすり合わせてものを潰すのですから、摩擦でどんどん歯自体も削れていってしまいます。それを一日一二時間以上の食事で行うのですから、ゾウの歯はどんどん摩耗していってしまうでしょう。

 しかしゾウの歯は一生に五回も生え変わります。最初に生えてくる歯を合わせて六回歯が生えてくるのです。
 適した年齢で乳歯の後永久歯が生えてくる人間とちがい、ゾウの歯は前の歯がすり減ると、次に生えてくる歯が前の歯を押し出してとってかわります。
 これを五回ほど繰り返すころにはゾウには寿命が来て、歯の再生も終わります。

 さて、牙はオスの場合一生伸び続ける場合もありますが、生え変わることはありません。

 この牙は大人になるとエナメル質の層を失います。子供のころはまだエナメル質が表面を纏っているのですが、牙を使うにつれて剥がれ落ち、いわゆる象牙質が露出してきます。
 牙には大変多くの血管と神経が通っており、ゾウは牙を強打されると大変痛がります。折られた時にはものすごい痛みでショック死してしまうこともあるそうです。

 

 まとめ

 


 ゾウの歯は人間と違い、植物を食べることに特化し、そしてとても酷使されることがわかりました。たったの四本でゾウのたいへんな食事の量を支えているのですから、驚きです。
 牙はゾウの強さのシンボルですが、実はゾウの弱点でもありました。人間とゾウの歯にはいろいろな違いがありますが、どちらにとっても大切な器官であることにかわりはありません。

トカゲの尻尾、切れたり生えたりする仕組み

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 天敵と会った時、トカゲが逃げるために尻尾を切っておとりにする行動は広くしられています。
 しかし、なぜトカゲは自分で手も使わずに尻尾を切ることができるのでしょうか?そしてなぜ尻尾を再生させることができるのでしょうか?

 実は、トカゲのしっぽには細かい切れ目が入っていて、それで非常に切断されやすい構造になっているそうです。
 そして切った後は特殊な細胞が増殖し、尻尾が再生するようになっているのです。

 今日はそんなトカゲとその尻尾について迫ってみたいと思います。


トカゲの生態

 

 

 トカゲは有隣目トカゲ亜科というグループに属する動物たちを総称していいます。イグアナやカメレオンなども「トカゲ」に含まれます。
 実はいくつかの種では頭に第三の目「頭頂眼」を持ち、幼体でしか見られなかったり、退化したりしていながらも、光を感知する程度のことができるようです。
 この「頭頂眼」については詳しいことはよくわかっていませんが、トカゲたちの遠い先祖が持っていた眼の器官のなごりだと言われています。

 前述したイグアナやカメレオン、そしてカナヘビやヤモリなどを含む幅広いグループで、食べるものも昆虫から魚類、植物では果実や種、海藻まで食べる種が居ます。

 このようにいろいろな種がいるのは、なんと言ってもその起源が古いため(最初のトカゲはジュラ紀に出現)で、進化する過程で様々な性質を獲得し、コモドオオトカアゲのように巨大なものや、カメレオンのように変色して擬態するものまで生まれたのです。


トカゲのしっぽ

 

 

 トカゲはいろいろな種類が居ます。自分で尻尾を切れるものも居れば、切れないものもいます。例えばカメレオンなどは自分で尻尾を切断することができません。
 尻尾は子供のとき、大抵きれいな色をしています。これは敵が尻尾に気を取られるようにするため。小さな身体でも生き残られるよう工夫が施されているのですね。

 さてこの尻尾、なぜ手も触れていないのに切れるのかと言うと、尻尾の骨はまず自と呼ばれる小さな関節が連なる構造をしていて、それに合わせて筋肉や皮膚などの周りの組織も切れ込みが入っています。
 つまりお菓子の袋のギザギザのように、とても切れやすい構造をしているのですね。
 そして尻尾には尻尾を切るための筋肉も備わっており、身の危険がせまって逃走本能が刺激されるとその筋肉に力が入って切れる、と言った仕組みになっています。

 そんな風に切り離されやすい尻尾ですが、ご存知の通り切った後もまた生えてきます。見た目には医者もびっくりするほど元通りになりますが、なぜそのようなことが可能なのでしょうか?
 まずトカゲは尻尾を切ってもあまり出血しません。せっかく敵から逃げたのに貧血で倒れてしまっては元も子もありませんからね。それに血が流れすぎると尻尾を再生する邪魔になります。
 そのため、尻尾の切断面の周りの筋肉が収縮することで血の流出を防ぐようになっています。

 そして再生芽と呼ばれる細胞の塊を切られた部分の周囲の皮膚細胞から作ります。この再生芽はもともと皮膚の細胞だったものが脱分化(元々の機能を失う事)したもので構成され、皮膚の細胞としての機能を失ったことにより、尻尾の組織を再生するための機能をもった細胞に変わることができるようになっています。
 この再生芽が増殖していき、尻尾の組織を作っていきます。しかし、残念なことに元通りとはいかないようです。骨の複雑な組織の再生は難しく、軟骨や、皮膚や筋肉などしか再生芽は作ることができません。
 見た目は元通りですが、再生された尻尾の中はふにゃふにゃになってしまっているのですね。
 

まとめ

 

 トカゲの尻尾には驚きの仕組みが備わっていることがわかりました。
 しかしトカゲの尻尾には栄養を蓄えていることが多く、さらに再生するのにもエネルギーを使うので、尻尾を切ることで結局元気に動けなくなってしまうことも。
 また尻尾を切った後生えてこない種もあり、便利そうなトカゲの尻尾切りも現実には命には変えられないので仕方なくする行動のようです。
 
 

猫の好物は子猫の時に決まる?猫の食生活を考える

 

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 猫と言えば魚好きと言うイメージがあります。しかし本来、猫は陸上でネズミなどの小動物を捕まえて食べてきた生き物です。主食は魚ではなくお肉であるほうが自然でしょう。
 ではなぜ日本の猫は魚をよく食べるのでしょうか?

 実は猫の好物は、生後三ヶ月程度に食べたもので決まるそうです。お乳を飲まなくなったあと猫はいろいろな物を食べられるようになりますが、その時に一番よく食べたものを生涯好むようになると言われています。


 この時に食べなかったものに対してはあまり興味を示さないそうです。漁業が盛んな日本では魚をよく与えていたため、猫は魚ばかりを食べるようになったと思われます。

飼い始めた猫がなかなかご飯を食べてくれないときは、実は別のものが好物だという可能性があるので、食べ物を変えてあげるのがいいかもしれません。


 猫の食性

 

 さて、前述した通り猫は本来肉食動物。自然界のハンターです。野生では、ネズミはもちろん、ヘビやトカゲなどの爬虫類などを捉え、タンパク質を摂取します。
 他にはカエルや昆虫なども食べることがあり、魚を食べてばかりいると言う猫のイメージは、実態とは違うことがわかります。

 時折丈の短い植物などを食べることがありますが、理由はよくわかっていません。植物に由来する栄養を補給するためと言う説や、食物繊維を得るためという話もあります。
 しかし基本的に肉食であるため、植物の毒素を分解する機能は弱いので、へたに野菜などを与えるのは控えましょう。
 植物を与えるなら、エンパクと言う草が猫向けに市販されているのでそれがオススメです。
 

 猫に食べさせてはいけない食べ物

 

 猫に魚を食べさせるなら、生の青魚は避けましょう。
 アニサキスという寄生虫が猫に害を及ぼすためです。もし青魚を与えるのであれば、十分に加熱してからにすべきです。

 絶対に与えてはいけないもので代表的なものは玉ねぎなどのネギ類。赤血球を破壊する「アリルブロビルジスルファイド」は猫にとって猛毒であり、血の流出で死に至る場合があります。
 また、猫は本来乾燥した地域で生きてきたため腎臓への負担が強く、ぶどうやレーズンなどのカリウムを含むものを与えるものはやめましょう。

 基本的に肉類は食べさせて大丈夫ですが、脂身は避けたほうが良いです。しかし生で与えるのは下痢などを引き起こす恐れがあるため、加熱したものを与えたほうがよさそうです。

 ほかにもたくさん猫が食べてはいけないものがあります。
 食べさせてよいとわかっているものだけを与えるようにしてください。


 まとめ

 

 猫は日本人のイメージと違って、魚がとくに好物だと言うわけではないと言うのがわかっていただけたと思います。
 そのほか、人間が普通食べているものでも猫にとっては大変危険なものがたくさんあります。
 猫はこれを食べそうなイメージだから、人間も食べているから、で食べ物を与えたりせず、しっかり調べたうえでご飯を選んであげてください。

道具を「作る」カラス?

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 カラスは大変賢い鳥として知られています。堅い木の実を自動車に割らせて食べられるようにしたり、数の概念まで理解できるという研究結果もあります。
 しかし、知られている中で道具を作ることのできるカラスは一種しか知られていません。

 その名はカレドニアガラス。ニューカレドニアのグランドテール島に生息しているカラス。ごく狭い地域にしか生息していないとても珍しいカラスです。

 


 そもそもカラスとは

 

 

 小型鳥類の所属するスズメ目の中でかなりの大きさを有するカラス科に分類される、カラス属と言うグループの鳥を総称してカラスと呼んでいます。
 世界中に生息しており、黒い羽毛がトレードマーク。知能が非常に発達しており、遊ぶのが大好きです。頭がいいことは古くから知られており、「烏と水差し」と言う寓話にも出てきます。
 鳥類の中ではトップクラスの社会性を持ち、「カラス語」と呼ばれるカラス独自の言語も研究されています。

 ゴミをあさることでも知られる幅広い雑食性は、同じ鳥類のヒナから甲殻類、それから植物の種子までに及び、カラスが幅広い生息圏を獲得する理由の一つです。
 食べ物の扱いにも知性を見せ、前述したように堅い木の実を車に割らせたり、隠れる場所に持って行ってから後で食べたりする行動が見られます。

 天敵もほとんどおらず、成体はたまに猛禽類などに襲われる程度で、後はタマゴやヒナがヘビなどに捕食されるぐらいです。

 


 道具を作るカレドニアガラス

 

 カレドニアガラスの生息するグランデール島には様々な樹木が分布しており、その倒れた木の中に様々な昆虫の幼体が潜んでいます。
 その幼虫をとらえるためにどうするかと言うと、彼らはまず小枝を拾い、それを破損しない程度に追って「フック状」に加工します、つまり釣り針のような道具を作るのです。
 そしてそのフックで幼虫をひっかけてほじくりだし、ご飯にありつく。……このような行動を取る鳥類は、カレドニアガラス以外には存在しません。

 そして地域によって使用する「道具」は異なると言われており、葉っぱの「葉柄」と言われる部分を使って釣りのように幼虫にかませて引きずり出す行動や、ヤシに似たバンダナスと言う植物の葉に切れ込みをいれ、そこに引っ掛けて幼虫を捕獲する行動が、地域によってさまざまな「文化」として相違を見せています。

 こうしたカレドニアガラスの道具を作る行動は、鳥類学者によって研究が進められています。
 他の個体を単純に真似したのではないか、と思われるかもしれませんが、事実はそう単純ではないようです。

 研究者のローガン氏らが行った実験によると、一方のカラスが特定の行動によって報酬であるエサを獲得した時に、それを観察していたもう一方のカラスは最初その行動を真似していたものの、報酬が得られないとわかると同じ行動を取るのをやめて様々な行動を試してエサを獲得しようとしました。

 そこからローガン氏らは、単純な模倣学習だけではなく、試行錯誤によって、カレドニアガラスの道具を作る行動が形成されるのではないかと言います。
 そしてその試行錯誤が、道具の様々な差異を生み出していると考えられます。

 そしてカレドニアガラスの大人と子供を使ったこの実験によって、子供が大人から学ぶのではなく、大人も子供の行動を見て学習し、カレドニアガラスの「道具の文化」を作っているのだと言う事もわかりました。

 


 まとめ

 

 カレドニアガラスの道具は様々な試行錯誤によって進化しているもののようです。自然の技術者である彼らは、今はニューカレドニアの一部にしか生息していませんが、道具を使いこなすことでいつか世界中に羽ばたく日が来るかもしれません。

ぷにぷにの肉球はなぜついてるの?

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ワンちゃんやネコちゃんのキュートなシンボルである肉球。かわいらしいですよね。
でも単にチャーミングなだけではありません。あのぷにぷにには、数々の素晴らしい機能が備わっている、動物にとって大切な器官なのです。


肉球の様々な役割

 

肉球は歩く音を消してくれる。

 

そもそもイヌやネコは食肉目と呼ばれる、いわゆる肉食動物が多く属するグループに入っています。
祖先や仲間のライオンたちはサバンナなどで獲物を追い、時には忍び寄って食事の機会を狙ってきました。そんな時、ぺたぺたと音を立てて近づいてしまうと、敏感な草食動物の耳はその音を聞きつけ、すぐに逃げ去ってしまうでしょう。

そうした事を防ぐため、肉球はあのぷにぷにで動く音を消してくれているのです。

 


肉球は滑り止めになっている。

 

ワンちゃんやネコちゃんが全力疾走しても転んだりしない理由も、肉球にあります。
肉球の表面はつぶつぶの凹凸があり、この凹凸が地面との摩擦を生んで、ちょうど靴で言うスパイクのように機能することで滑り止めになってくれるのです。

またこの摩擦で、ものを取っても滑って掴みそこなったりするのを防いでいます。

 


肉球は衝撃を和らげる。

 

ネコが高いところから飛び降りても、平気そうにしているのは様々な理由がありますが、肉球がクッションの役割を果たしているのも大きいです。
肉球は脂肪やコラーゲンと言った動物の作ることのできるもののうちで非常に柔らかい物質から構成されています。あのぷにぷにの触感は、脂肪やコラーゲンの感触だったのです。
その弾力が脚へのダメージを軽減し、骨や筋肉を守っているのです。

高いところから落ちたりせずとも、毎日のように走り回っている食肉目の動物たちの脚はひどく酷使されています。肉球がそうした消耗を和らげることで、彼らはいつまでも走ることができるのです。

 


肉球の豆知識

 

肉球の周りには汗をかく器官である汗腺が発達しており、この汗腺から汗を分泌することで、肉球を湿らせることができます。
汗のベタベタ成分である塩分で前述した滑り止めの役割を助けています。また身体の先から汗の多くを分泌させることで、身体全体がベタベタするのを防いでくれます。

肉球はたくさん消費される部分にもかかわらず、組織を再生する力は齢です。
加えて縫合手術なども難しく、大きな傷がつくとたいへんなことになりかねません。
そうならないためには、乾燥を防ぐために十分に保湿させてケアをすることが重要になります。

 


食肉目の肉球にはいろいろな秘密があることがわかりました。
ワンちゃんやネコちゃんの肉球は、ものすごく大事なものなんです。飼い主の皆さんも、大切にしてあげてくださいね。

ウサギにはウサギ税が課せられていた!?原因となったウサギバブルとは……

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 見る人を幸せな気持ちにしてくれるウサギ。多少お値段は張るものの、できるなら飼ってみたいですよね。
 しかしかつて明治時代、ウサギを飼うことに税金がかけられていました。


 そもそもウサギとは……?

 


 ウサギはウサギ目ウサギ科に属する生物です。最初はげっ歯目としてネズミの仲間だと考えられていましたが、歯の特徴などの相違からのちに別の目として独立します。

 世界中の様々な地域に生息しますが、オーストラリアにはもともとは生息していませんでした。
 草原や熱帯雨林、半砂漠から雪原まで、様々な地形に適応し、その繁殖力の高さから哺乳類でもトップクラスに繁栄しました。

 基本的には植物(果実、樹皮を含む)を食べますが、一部の種では巻貝や昆虫を食べるものもいたりします。

 耳は長く動かすことができ、大きな目は集光性も高く夜間など暗い時間の活動に適しています。
 二八本の歯を持っていて、意外な事に肉球はなく体毛がかわりにびっしりと生えています。

 もっとも古い種では五〇〇〇年前の始新世に見られ、漸新世から中新世にかけて現在のウサギの形に近づいて行ったと考えられています。


 顎下の臭腺から匂い物質を分泌し、それをこすりつけることで縄張りを主張します。

 走る速さはだいたい時速60キロから80キロ。車並みのスピードです。

 声帯を持たないためにめったに泣くことはできませんが、後ろ脚を地面にたたきつけるスタンピングという行動でコミュニケーションを取り、仲間に危険を知らせたり、不快感を示したりするのにつかいます。


 また、有名な「二兎を追うものは一兎をも得ず」という諺は、実は日本ではなくローマの諺だったりします。

 

 

 ウサギバブルとウサギ税について

 

 時は1870年代にまでさかのぼります。

 当時「ウサギバブル」と呼ばれるウサギの大ブームが起こりました。
 東京の富裕層などが中心になって、外来種「カイウサギ」の需要が増え大人気となり、ペットとしての飼育や品種改良のための交配がたくさん行われました。

 人々はウサギを持ち寄り、値段や毛色などを競うようになります。この文化は現在の文鳥などにも見られます。

 そして自ら飼うため、またはブリーダーとなってウサギを売るため、ウサギは大量に売買されたのです。

 その結果、ウサギの値段が高騰し、投機を目的としてウサギを購入する人も増えてきました。


 そして事態を重く見た東京府は、ウサギを飼育する際には届け出をすること、一羽につき一円(当時の価値で2万円)を納めること、無届の場合は二円の罰金を収めることを取り決めました。
 さらに誰かがウサギを飼っていることを密告したものには、罰金の中から半分の一円程度が支払われることになりました。相互監視させることでウサギの飼育を抑制させようとしたのです。

 これがウサギ税です。

 結果、ウサギの価値は暴落しました。人々はウサギを殺して処分したり、川へ流したり、あるいは隠れて飼育したりなどをして税金を逃れようとしました。

 こうした東京府の対応の結果、ウサギの飼育は著しく減少し、1879年にはウサギ税を廃止することになりました。

 しかし一度勢いの衰えたウサギブームは復活することはなく、1880年代に入ると、全盛期には考えられないほど飼育数は激減していました。

 ウサギには人間のエゴに巻き込まれた悲しい歴史があったのです。

リスの尻尾は取れる!?リスの意外な生態


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リスの大事な尻尾

 

 

小さくて可愛らしい姿が人気のリス。身の丈ほどもある尻尾も愛らしいですよね。

……でも、実はこの尻尾、取れるって知ってました?


リスの大きな尻尾はとても用途が多いです。晴れの日は身体にかぶせるように持ち上げて影を作り、雨や雪の日は同じように傘にします。
毛がふさふさなので温かく、寝るときには抱き枕の代わりにしてもいます。そしてその重量を活かして、ジャンプをするときにはかじ取りの役目を果たすのです。

こんなに便利な尻尾を手放すなんて……不思議かもしれませんが、天敵に狙われた時はそうもいっていられません。
そう、実はリスはトカゲのように尻尾を切ってそれを囮に逃げるのです。

 

リスに天敵は多く、ワシなどの猛禽類、地上ではたぬきやイタチなどの食肉目、そして蛇に狙われ、休む暇もありません。
特に食肉目相手では地上でのスピードもほぼ互角で、リスの敏捷さのみで逃げ切ることは難しいのです。
そうして追いつめられた時、リスは自分の尻尾を切断して一目散に逃げ出します。

 

そんなに簡単に切って大丈夫なの?と思われるかもしれません。
結論から言ってしまえばあまり大丈夫じゃありません。リスの尻尾はトカゲのように再生することができないのです。
あんなにいろいろな用途に使っていた尻尾がなくなってしまっては、その先の生活に大きな支障をきたしてしまいます。
それでも食べられるよりはマシなので、苦肉の策……といったところでしょう。

リスの生態

 

 

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リスは齧歯目(齧歯類)リス科に属する動物で、その種類は285種にも及びます。
樹の上で生活するものと地上で生活するものとで二分され、樹の上で生活するもののほうが尻尾はふさふさだったりします。
地上のリス(ジリス)は頬袋を持ち、そこにものを詰め込むことでよく知られています。

すごく乾燥した砂漠などを除き北極圏や熱帯雨林など幅広い生息域を持ち、きわめて優れた動物であることをうかがわせます。
ほとんどの種でメスが子供の世話をします。出産は年に一回から二回。子供は毛も歯もない上、目が見えない状態で生まれてきます。

一部のカリフォルニアジリスは、天敵であるガラガラヘビの毒に耐性を持っていることも報告されています。

基本的には草食ですが、昆虫や鳥類、そして爬虫類、果てには近縁種である小型の齧歯類を食べることも。一部の種は完全な昆虫食になっているといわれています。

 


人間とリス

 

リスのお腹の白い毛はヴェアと呼ばれ、最高級の毛皮として中世ヨーロッパでは人気でした。
何分一匹あたりからとれる量が少ないため希少価値があったのです。

アメリカではリスは食用としても人気であり、いくつかの地域でよく食べられています。
臭みがなく、調理に適しますが、やはり肉は小さく、料理として食べるにはたくさん捕獲する必要があります。

 

人間にもたくさん可愛がられるリスですが、興味本位でリスの尻尾をつかみ、尻尾が取れてしまったという話もあります。
リスの尻尾は大事なものなので、大切に扱ってあげてください。